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「ロシア極東情報」
2000年9月号
サハリンプロジェクトをめぐる「ロシア石油」新旧経営陣の綱引き
HIT情報企画部

 サハリン大陸棚プロジェクトに関する様々な明るいニュースとは裏腹に、非常に重要な情報は明らかにされることは少ない。それは「サハリン-1」プロジェクトのシェアをめぐり進んでいる攻防であり、実際の損得が大きく絡んだものである。この攻防はモスクワのロビーや回廊で火花を散らし、その鎮火もまたモスクワ自体が行おうとしている。

「サハリン‐1の実権を手中にした旧経営陣」

 事態を簡潔にいうと、潟鴻Xネフチ(ロシア石油)の現社長S.バグダンチコフが潟グシェリフを「サハリン-1」プロジェクトから追い出そうとしているのでのある。ユグシェリフ社は1994年、ロスネフチのトップ10名が個人的に出資して設立した企業であり、その代表はロスネフチの当時社長であったA・プチロフである。そのユグシェリフは1995年、ロスネフチと共同で新たな会社「ロスネフチ・サハリン」を創設した(潟鴻Xネフチ・サハリンモレネフチガスは別法人)。
 この新会社「ロスネフチ・サハリン」においてユグシェリフの出資比率は20%で、残り80%をロスネフチが所有している。ロスネフチ・サハリン社は設立と同時に、ロスネフチは同社に「サハリン-1」プロジェクトに関する権利を委ねている。つまり、ここでロスネフチ・サハリンの株主であるユグシェリフもサハリンー1プロジェクトに参画したことになった。ただ、この段階ではロスネフチもロスネフチ・サハリンも、又、ユグシェリフも看板こそ違え、A・プチロフ当時社長を中心とする一派の手中にある企業グループであることには違いなかった。

社長更迭と覇権争い

 しかしながら、この2年間に事態は急変した。1998年、A・プチロフ社長が更迭され、当時「サハリンモレネフチガス」の社長であったS.バクダンチコフがロスネフチ社長に就任したのである。そして、それと同時にプチロフ元社長はバクダンチコフ新社長との激しい攻防が始まったのである。バクダンチコフによると、プチロフ率いるユグシェリフはサハリン-1プロジェクト立上げに関連して数百万ドルの資金をロスネフチから巻き上げている。また新社長は、ユグシェリフはサハリン-1プロジェクトに関する投資義務を一切行っていないと指摘している。
 こんな中、バクダンチコフ率いるロスネフチ・サハリンの株主たちは、サハリン-1プロジェクトに関する権限をすべて新設した「サハリンスキー・プロエクト」社に関することを決定した。これによってサハリン‐1プロジェクトにおけるユグシェリフの役回りはなくなり、カヤの外に追いやられたのである。また、ロスネフチ・サハリンの増資も決定し、ユグシェリフの影響力を弱めようとしている。
 このように、サハリン‐1を巡るロスネフチ・サハリン・モレネフチガスの動きは企業論理を離れた経営陣の覇権争いとも考えられる。

誰が事態を鎮火するのか

 ロスネフチ・サハリンモレネフチガスの社長としてバクダンチコフは、今年9月までに同社が負担するべき投資金額約3750万ドルを支払うと他の出資者(エクソン・モービル30%、SODECO30%、サハリンモレネフチガス17%)に約束している。この資金調達のために前社長の手元に渡った資金を取り返そうとしているのである。
 さらに一言加えると、今年夏、ロシア政府が大規模国営企業の指導者一新を進めた際、カシャノフ首相は「バクダンチコフには手をつけるな」と命令している。冒頭に書いた「モスクワが鎮火を進めている」という真意がここに現れている。

 

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