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「Q&A介護保険と私たち」

第8回(1999年11月号)
要介護認定のための認定調査・審査判定始まる
星野克紀(HIT調査部)


5つの不安

 10月から全国の市町村で要介護認定のための認定調査・審査判定が始まりました。
 現在、すでに在宅サービスを利用している人については、サービスの継続的な利用を確保するために、また、施設に入所している人については「自立」「要支援」に該当した場合に在宅あるいは自宅以外の生活支援型施設等へできる限りスムーズに移行できるために、今年度中に要介護認定を受けることになります(但し、特別養護老人ホームの入所者については5年間の経過措置があります)。まずは、こうした人から優先的に要介護認定が行われ、その後、順次新規の利用希望者の認定が行われます。
 新制度のスタートが目前に迫ってきましたが、介護保険制度に対する被保険者の不安や不信はなかなか解消されないようです。主なものを挙げると次のようになります。@月々の保険料とサービス利用にかかる1割の自己負担に耐えられるのか、A要介護認定は本人の状態を正しく判定できるのか、B「自立」と判定されたら在宅サービスが受けられないのではないか、あるいは施設を追い出されるのではないか、C現在利用しているサービス量と比較してより軽度の要介護状態と判定されらどうするのか、D認定後、状態が変化した場合はどうなるのか。今回は、この5つの不安について考えてみます。

1割の利用者負担は〜〈第1の点について〉

 月々の保険料と1割の利用者負担は確実に家計を圧迫します。特に現行の福祉制度を利用して自己負担なしにサービスを利用してきた人にとっては、この事自体サービスの低下と映るでしょう。理想を言えば、現時点におけるだれの満足も引き下げることなく、より多くの人の満足が高まるような新制度であって欲しいものですが、サービスを利用する人としない人の負担の公平、利用しているサービスに対する費用意識の喚起という観点から利用者負担は受け入れるべきでしょう。但し、低所得者に対する経済的負担の軽減策など負担の仕方については今後も議論が必要です。

ふたを開けてみて〜〈第2の点について〉

 国は平成9年度から試行事業を行い要介護認定のシステムの改善を行ってきましたが、本番の判定結果がどれだけ多くの対象者にとって納得いくものとなるかは、実際にふたを開けてみるまでは分からないといったところでしょう。

具体策の講評を〜〈第3の点について〉

 現在、在宅サービスを利用している人のうち、要介護認定で「自立」と認定された人については、介護保険では介護サービスは提供されないことになりますが、在宅については、少なくとも現在サービスを利用している人について現行サービス水準を確保することが基本となります。こうした人に対して市町村は介護予防・生活支援サービスへの円滑な移行に向けた準備を進めていくことになりますが、取り組み状況には市町村格差が出そうです。
 介護保険制度の目的の一つに社会的入院の解消があります。何らかの理由により在宅での生活が困難で入院を選択せざるを得なかった人に対しては、退院、退所後の受け皿を確保する必要があります。現在、市町村ではケアハウス、高齢者生活福祉センター、高齢者向け住宅等の活用を検討するなど対応を急いでいると思いますが、施設に入所している人の不安解消のためにも、早急に具体的な対策を公表して欲しいものです。

ケアマネジャーへの期待〜〈第4の点について〉

 より多くのサービスを必要としているにもかかわらず、要介護度を軽く評価されたため、希望するサービスが保険適用額を上回ってしまう場合があるかもしれません。その場合は、保険適用を超える部分を全額負担してサービスを購入することもあり得ますが、毎月の負担となれば大変です。一般的には保険適用の範囲内でケアマネジャーがやりくりをする訳ですが、サービス削減となれば現行制度ですでにサービスを利用している人にとってはサービスの低下です。保険者である市町村には、新制度への移行によって極端なサービス水準の変更がないよう配慮が求められます。

認定の変更申請〜〈第5の点について〉

 高齢者の状態は変化しやすく、迅速かつ適切な対応が必要です。一旦、要介護認定を受けた場合でも、要介護状態が大きく変化したような場合には、市町村に対し要介護度の認定の変更申請をすることができます。手続きは、被保険者による市町村への要介護状態区分変更の認定申請→市町村による調査→介護認定審査会による審査および判定→市町村による決定および通知という流れになります。
 現行の福祉制度においても、利用者の心身の状態が悪化した場合、上限はありますがサービスの追加が可能です。手続きは、本人や家族が直接あるいは在宅介護支援センター等を通じて市町村にサービス変更の申請を行い、変更の決定を受けてサービスが提供されることになります。もちろん、緊急性が高い場合には、サービスは直ちに提供されます。
 新制度の下では、現行制度よりもさらにスピードアップし、適切なサービスを適切なタイミングで供給できるような効率的なシステムとして発展して欲しいものです。

 

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