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◆ ポトフ - 開発 解☆タイ☆新書 ◆
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ODAの評価 タイからの発信も最終回となりました。今日は、日本の国際協力活動について考えてみたいと思います。日本の国際協力の核は、政府開発援助(ODA)で、近年は減少基調にあるものの、依然として、8千5百億円強の規模(平成15年度予算)を有しています。ODAには、無償資金協力、円借款、国際機関を通じての支援などが含まれています。日本のODAの重点分野に、「人間の安全保障」「紛争後の復興支援」「感染症対策」「水分野支援」「南南協力」などが上げられています。これらは、重要なものばかりです。 人間の安全保障は、人間の経済面での生活改善、法制度面での人権の保障、社会的な公正などを包括的に実現していこうとする考え方で、所得面のみに限定しない広義の貧困削減活動を実現していくために不可欠であり、開発活動を下支えしています。一昨年来、緒方貞子さんやアマルティア・セン氏を議長に据えて、「人間の安全保障委員会」を設立、具体的な活動指針となる提言書や基金を設立するなど、積極的な目に見える形で人権、貧困、紛争をつなぐすばらしい貢献をしました。また、復興支援では、アンゴラ、カンボジア、コソボ、東チモール、アフガニスタン、スリランカへ、日本は、巨額の資金拠出と同時に、人道的な開発支援活動の専門家を派遣してきた実績を上げました。保健衛生分野では、母子保健プロジェクトなど高い評価を受ける活動を行ってきました。今後は、HIV/AIDS、マラリアなどの感染症対策への取り組みに更に力を入れていくこととしています。南南協力とは、途上国で効果を上げてきた活動を途上国間で共有、実際のプロジェクトや政策形成に活かすように知識体系化の作業や、研修を通じての支援活動を行うものです。 これらの日本のODA活動が、どこまで着実に成果を上げているのでしょうか。成果を把握するためには、的確な評価が不可欠です。実は、日本のODA活動で改善すべき一つが、「評価活動」に力を注ぐことなのです。評価活動なしには、達成できたことを把握することはできません。従来、開発プロジェクトを審査段階で精査することはあっても、実際にプロジェクトが動き出したら、詳細にわたる評価を行うことはあまりありませんでした。 最近は、事後評価制度も創設され、評価活動への取り組みが大切であるとの認識が生まれてきたようです。それでも、評価を何のために行っているのかを明確にすることが大切だと思っています。たとえば、就学率を向上させるために、小学校を建設したとしましょう。評価をすることで、具体的にどれくらい就学率が上がったのかを定量的に検証できます。仮に、率の改善が見られたとして、改善要因は具体的に何だったのかを確認することが大切です。建設プロジェクトのマネジメントと遂行、教員の質、教科書の問題、学校のカリキュラムなど学校の運営そのものなどにわたり、多面的に要因を探り出していきます。さらに、学校を作ったことで二次的な影響、改善点が見られたかどうか、地域の声を集め、調査することも大切でしょう。このようにして、開発協力の関係者や住民が力を注いできた活動を振り返り、その良い点、悪い点についてまとめておくのです。プロジェクト毎に、評価報告を整理しておけば、今後、同様のプロジェクトを形成、実施していく際に、適宜参考にすることができるわけです。 国際協力の行政官の育成 日本の開発協力活動の点検、評価は、国際開発協力に役立つ貴重な知識提供になります。しかし、評価を強化することだけでは十分ではなく、同時に日本が取り組むべきことがあります。それは、国際協力にかかわる行政官の育成が問われていることです。そつなくこなすゼネラリストが政策決定の主要なポストに就いているわけですが、彼らは、非常に優秀で、それこそ、世の中の流れ(国際開発の世界の流れ)に即応します。貧困削減を包括的な目標として日本のODAの基本方針の見直しや重点活動を策定します。また、技術面でも、彼らは、短時間で、所得、非所得両面からの貧困問題への知識、教育、保健などの重要セクターと貧困削減緒の関係、ガバナンスと貧困、環境やエネルギーと貧困などを「頭で理解」していきます。 しかし、これだけで、生活する人々の目線に立って、必要とされる開発プロジェクトを選び出し、日本のODAが納税者の期待通りの「国益」を実現していっているのでしょうか。現実には、多くのODA批判があり、少なくとも、ODAのあり方は不信がられています。日本の開発行政官は、途上国政府が主体的なアイデアを日本大使館を通じて要請する「要請ベース」方式を強調してきました。これは、確かに途上国の主体性を重んじる「オーナーシップ」の考え方に適う方針です。しかし、問題は、申請されてきた途上国のアイデアが本当にその国の主体性に裏付けられたものであるかどうか、をしっかりと選別する目で査定されなければならないのです。国の申請であるから、それらは全てその国の優先度に応じたものであると理解、説明することでは十分ではなく、その国の開発目標やMDGsの達成に寄与するものかどうか、どこまで地域のニーズや実情に即したアイデアなのかどうか、また、日本の開発協力重点項目に沿うものかどうか、総合的に果たして申請案件は本当に開発支援するに足るものかどうかを、慎重かつ迅速にチェックできる人材と組織体制を持つことなのです。査定や評価作業をきっちりと行えば、日本の企業などが仕掛けたプロジェクトなどは必然的に数を減らしていきますし、途上国の人々の生活改善を支援する国際協力プロジェクトの数と質がさらにアップしていくと考えています。 質の高い評価の実行、国際協力専門の行政官の育成には、極めて高等な技術と経験を要求するものですし、そのための戦略的な人材育成も大きな課題です。その意味では、日本の大学、大学院のあり方が問われています。とくに、日本の大学院は、旧来の専門領域(経済、政治、工学、医学、農学など)に基づいて縦割りで作られたカリキュラムと知識体系の中で教育・研究を行っています。貧困削減には、経済、教育、厚生、政治、農業などの枠組みを越えた専門家と市民の手によって問題解決に汗水流すことで少しずつ前進していくものです。そのような学際的な取り組みとチームワークのできる人材を積極的に供給しなければいけないのです。学際的な専門性と現実問題解決指向型の手法を身につけた実務型専門家であれば、開発協力分野の行政官になったり、開発協力NGOを形成したり、問題解決型研究を看板にする研究者になり、これらの間を自在に行き来できる柔軟性が生まれてくると思うのです。私自身、横断的な専門性と問題解決型の人材育成へのチャレンジを札幌で取り組んでみようと考えているところです。 |
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| 4月(No.254)12 東チモール復興支援の功罪 2月(No.252)11 日本が途上国に学べるものはあるのか。(後編) |
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| 12月(No.250)10 日本が途上国に学べるものはあるのか。(前編) 10月(No.248)9 Knowledgeと開発 8月(No.246)8 途上国の障害者問題 6月(No.244)7 女性と男性のお金の使い道に違いはあるのだろうか。 4月(No.242)6 日本人の開発専門家 2月(No.240)5 Millenium Development Goasl(MDGs:ミレニアム開発ゴール)って何? |
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