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◆ ぶらりしゃらり ◆

■ 轡田 隆史 (くつわだ たかふみ) 氏 ■
1936年生まれ。59年、早稲田大学を卒業し、朝日新聞社に入社。朝日新聞社社会部、編集委員、論説委員、編集局顧問などを歴任。89年から8年間、同紙夕刊コラム「素粒子」を担当。著書に『顔のある文章の作り方』、『「考える力」をつける本』、『いきいきと手紙を書く』、『時代を動かす言葉』、『小論文に強くなる』など多数。現在、エッセイストとして活躍する傍ら、テレビ朝日系列『ニュースステーション』でリポーターとしても活躍中。 
 

第95回/2007年5月(No.303)
ギョーザと地方の視点と
 
 毎日新聞夕刊の「文化 批評と表現」欄の連載「中島岳志的 アジア対談」では、アジア研究の中島岳志さんと、行政学の山口二郎さんという、北海道大学の俊英がそろい踏みして、楽しかった(3月19日付)。
「地方の視点で改革を問う」というタイトルぴったりの議論が、しっかり組み合っていたからだ。
 何でも「イエス、イエス」で意気投合するのが「日本的議論」なのだけれど、ほんとうの議論とは、互いに「ノー」といいあいながら、問題点を明らかにしてゆき、同時に一致点も見いだすことだろう。
 夕張の例をひきながら中島さんは、行政が崩れて、ある種の直接民主制が表れてきたのが面白い、と語る。
 山口さんは、これに共感を示しながら、同時に、市民ができることと、行政にしかできないことをちゃんと見分けるべきです、と応じる。
 夕張の今年の成人式は、新成人たち自身が予算1万円で企画した。テレビ朝日系の報道番組「スーパーJチャンネル」でぼくは、大いに感動してコメントをしたが、なるほど、成人式なら思い出深いものになるが、病院や学校はとなると、やはり行政の力でなくてはできない。
 大型の対談をここですべて紹介するわけにはゆかないけれど、ともかく「地方の視点」というものの大切さが、とても誠実に話し合われていたと思う。
「地方の視点」の重要さがしきりに説かれながら、しかし現実には「中央の視点」のみがマスコミでハバをきかしているだけに、さまざまな示唆に富んだ企画だった。
 それを読みながらぼくは、『しゃりばり』の存在をしきりに思った。「地方の視点で改革を問い続けているドンチャン騒ぎ」の素晴らしさ、さまざまな可能性を模索している力を感じながら、同時に、山口さんの略歴の最後のところに、「趣味はギョーザ作り」と記してあったのに気がついた。
 そこで、ちと話は飛ぶが、はじめてお会いした人に、ご趣味は何ですか? と質問されるたびに、ハテ、ぼくの趣味は何だっけ? としばし考えこむ。
 フツー、趣味といえば、スポーツ、釣り、読書、音楽鑑賞、絵を見ることなどなど、しかるべき定番がある。
 しかしぼくの場合、読書、音楽、絵画などに、かなりの時間をさいているけれど、そのどれもがショウバイに、何らかのかたちでいやらしく結びついているから、純粋な意味での趣味とはいいにくい。目的なしに、ただ楽しむだけなのが趣味なのだから。
 そこで、銭湯だとか、豆腐屋さんへの買い物だとか、いささか妙なことを並べたてる。
「正座」と答えたこともある。一杯やりに行った先が座敷だったら、しばし正座をして飲むのが趣味というわけだ。
 どうもぼくのはスカッとしないが、「ギョーザ作り」とは、いいねえ! もともとギョーザは大好きだけれど、自分で作ったことはない。なかに包みこむ具は何にしようか? とか、焼きギョーザにするのか、水ギョーザにするのか、スープにするのか? などと考えるべきことはいっぱいある。
 当然ながら、ここにも「地方の視点」を生かさなくてはならず、土地土地のシュンのものを刻みこむ工夫も大切だろう。
 

■2007年■
 4月(No.302)107 「タンジュウ」ってなあに?
 3月(No.301)106 幻想のかなたに廃虚あり
 2月(No.300)105 古寺巡礼と妄言多謝と
 1月(No.299)104 元旦は何のためにあるか
 
■2006年■
12月(No.298)103 お蔵にしまわれた世界史
11月(No.297)102 湯豆腐つつける美しい国
10月(No.296)101 発見の源は銭湯にあり
 9月(No.295)100 おおらかな大仏さんよ!
 8月(No.294)99 「蹴る力」こそサッカー
 7月(No.293)98 ナゾのほほえみの奥に
 6月(No.292)97 吾輩は教科書である
 5月(No.291)96 たかが野球されどヤキュー
 4月(No.290)95 わが大地の「霊木化現」
 3月(No.289)94 気品ある早春の朝に想う
 2月(No.288)93 ケインズ劣等意識と晩学
 1月(No.287)92 新年は「ホメ上手」で
 
■2005年■
12月(No.286)91 もういくつねるとお正月
11月(No.285)90 いい年迎えるカレンダー
10月(No.284)89 小さい秋の雑読の勧め
 9月(No.283)88 雨バ雨ナテ風ハ風ナテ
 8月(No.282)87 「あの戦争」と日露戦争
 7月(No.281)86 チャンバラなき時代劇
 6月(No.280)85 計りかねる広さと精神と
 5月(No.279)84 文字の精霊に畏怖の念を
 4月(No.278)83 書物としての厚岸のカキ
 3月(No.277)82 名誉教授のカツ丼ペロリ
 2月(No.276)81 ああ旅にしあれば涙して
 1月(No.275)80 石ころと枯れ枝と賢治と
 
12月(No.274)79 オムスビと地震と機能性
11月(No.273)78 言葉の森の散策を楽しむ
10月(No.272)77 「焚書の秋」に独酌低吟
 9月(No.271)76 いまも義経は生きている
 8月(No.270)75 生きるとは遊ぶことなり
 7月(No.269)74 世界の中心で何と叫ぶか
 6月(No.268)73 威勢のいい放屁論再考
 5月(No.267)72 落第したカナリアの嘆き
 4月(No.266)71 カステラとシバの女王と
 3月(No.265)70 コンニャク問答の嘆き
 2月(No.264)69 日酔いを未来から見る
 1月(No.263)68 初夢と悪を想像する力
 
12月(No.262)67 ○△□こそすべての根源
11月(No.261)66 時々刻々に初心あるべし
10月(No.260)65 豆腐の旨い町のある島で
 9月(No.259)64 文明のかたちに己を見る
 8月(No.258)63 「コケ」男の八月の想い
 7月(No.257)62 老樹の魂は胡蝶のごとく
 6月(No.256)61 青いしるしは遥かに遠く
 5月(No.255)60 渦巻く湯気の底の人間像
 4月(No.254)59 Made in U.S.A
 3月(No.253)58 鍋にかわりて不義を討つ
 2月(No.252)57 ギンシャリに憧れた少年
 1月(No.251)56 われ土鍋の存在を信ず
 
12月(No.250)55 幽霊の出る国と出ない国
11月(No.249)54 秋風は吹き尽くさず
10月(No.248)53 風立ちぬ、いざ怒るやも
 9月(No.247)52 帰らざる川よ時代よ女よ
 8月(No.246)51 吾輩はキモイ親父である
 7月(No.245)50 「右・左」モンダイと歴史
 6月(No.244)49 打てば響くように忘れる
 5月(No.243)48 つらつきで酒を飲む
 4月(No.242)47 罵倒力の衰えを嘆きつつ
 3月(No.241)46 火の舞いに祈るこころ
 2月(No.240)45 弱い国は一つもない世界
 1月(No.239)44 ノアの箱舟で鳩を待つ
 
12月(No.238)43 ああ爽快な「禁酒の旅」
11月(No.237)42 テヘランで見た『七人の侍』
10月(No.236)41 だれ? スターリンって
 9月(No.235)40 永遠を見つめるまなざし
 8月(No.234)39 「ロシション」酔夢譚
 7月(No.233)38 真紀子外相vs外務官僚
 6月(No.232)37 「天動説」を好むは何故ぞ
 5月(No.231)36 『組曲 月山』を聴きながら……
 4月(No.230)35 フーテン縄文老人日記
 3月(No.229)34 知的ラクチンに閑居して
 2月(No.228)33 遊びの研究で己を救う
 1月(No.227)32 2001年の人類の記憶の旅
 
12月(No.226)31 創造の歴史を連環させよ
11月(No.225)30 五輪サッカーと鎖国日本
10月(No.224)29 縄文老人は想像を楽しむ
 9月(No.223)28 草木に祈るこころ
 8月(No.222)27 「不良老年道」を歩まん
 7月(No.221)26 岩山と冷麺と事典の記述
 6月(No.220)25 のたりのたりと本を読む
 5月(No.219)24 今は昔の物語を拾い集め
 4月(No.218)23 わが「趣味」は正座なり
 3月(No.217)22 酒の旅に想う弓道のこころ
 2月(No.216)21 気品ある生き方を選びたい
 1月(No.215)20 コンサドーレとレッズの間
 
12月(No.214)19 銀の滴降る降るまわりに
11月(No.213)18 リア王と湯豆腐と銭湯と
10月(No.212)17 わが内なるサルのこころ
 9月(No.211)16 岩からセミの声がしみ出る
 8月(No.210)15 全ての道はサッポロに通ず
 7月(No.209)14 われ新しき縄文人なり
 6月(No.208)13 十を食って土地を知る
 5月(No.207)12 地果て、海の始まるところ
 4月(No.206)11 岡田監督「愛」のモンダイ
 3月(No.205)10 早春の雪の彼方に躍るもの
 2月(No.204) 9 一億一心モシモシモシモシ
 1月(No.203) 8 99年の始めのためしとて
 
12月(No.202) 7 銭湯で叫ばん、我発見せり
11月(No.201) 6 
10月(No.200) 5 
 9月(No.199) 4 
 8月(No.198) 3 
 7月(No.197) 2 
 6月(No.196) 1 


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